綺麗な庭

わたしの救いの箱庭です。

2022-01-01から1年間の記事一覧

hvítur skógur

ある寒い冬、アナスタシアは10歳になりました。 でも、朝目を覚ますと誰もいません。 静まり返った家のドアを一つ一つ開けて、呼びかけます。 「みんなどこへ行ったの?」 暖炉は、長い間使われていないかのように冷え切っており、燭台はすっかりくすんでい…

原風景

なだらかな勾配の、どこまでも続くような丘 青々とざわめく草 柔らかな陽光と暖かい風 君の髪の毛一本一本が煌めく 愛の話をする 君のヴァイオリンのような声 肌と肌が擦れる 無垢な獣になったわたしたちは 神話のようなセックスをした

赦し

回帰する あなたの赦しで 呪いは融解する 肌寒い心で、ずっとうずくまっていた石胎児 きみの祈りはきっと届く 愛しているよ

Paradisia

還ってきた! 神の庭 全ては赦された 嬉しくて 気持ちよくて 小高い丘で嘔吐した 涼しい風が涙を乾かす 朝日かも夕日かもわからないが 斜陽がか弱い皮膚を破り 毛並みを照らす 厳かで心地よい 無限の愛が わたしのなかの方から 溢れ出して 壊れてしまう

溶融

抱きしめてください できればそのまま殺してください あなたの白くて柔らかい腕が にじみ とろけ わたしと溶け合う 脳波はシンクロし 同じ視界を見る もう何億年もそうであったみたいで わたしたちは嬉しくて微笑む もう独りのわたしはいない あなたもいない…

hallucinature

流水がやがてノイズになり、耳元で上昇する 絶え間なくぶつかるエネルギーのうなり 私は草を編む 遠い昔から決められていたかのように 今生の使命であるかのように 世界と繋がる私だけの祈り

ゼノファウナ

大きな鯨は私を赦してくれない 街はどんどん水で満ち、一番高い塔を飲み込んだ 底の方から52Hzが 頭の奥を揺らす 独り 部屋で踠く 脳を掻き毟る 痙攣のダンス 動かなくなった私を柔らかく抱く白い腕 もうだいじょうぶだよ こわかったね くるしかったね つら…

新しい化石

全てを透明の中に閉じ込めよう。 それを好きな時に眺めよう。 様々な角度で。 朽ちず、褪せず、嘘をつかない。

frigidarium

青白い後光 私の輪郭を在らしめる 水面が私の空洞を浮かび上がらせる。 雷を奏でる 霧を切り裂き、踊る 皮膚が水を弾く 寒くて自分の肩を抱く。 張り裂けそうな皮膚を押さえる。 綻びそうな意識を締める。 冷浴室

freeze

名前のない獣が吐く白い息。 清潔になりたいと願った。 水面に手を伸ばす。君は嘘をつかない。 巻き戻して欲しい。 誰もいなくなった。静かに、こっそり、しかし確実に。 「僕ももう帰らなくちゃ。」 どこに? 存在しないはずの過去に想いを馳せる。 コント…

l0veis

(運命みたいなものは、ある程度存在しており、それは選択の積み重ね、或いは潜在意識下でのセルフイメージにより発現する。 それは成るべくして成った生物の姿形と相同のものだと言っていい。 つまり、我々は在るべくしてここに在る。 私は在ることを呪うが…

私が美しいと思うかたち

私が美しいと思うかたちは、清々しい移動だ。 喉奥へと流れる水、渓谷に落ちていく肉体、君の肌に触れようとする手の軌道。

完璧な貝殻 胎児と内臓の相違点

例えば性行為。 2人の体が繋がったように感じる。 でも決してそんなようなことはなくて、私たちは皮膚という壁で隔てられている。 独善的で愛すべき輪郭。 夢の中で夢を見る。 覚めても夢、覚めても夢。 今度の目覚めも夢だといいな。死んでいる時が一番幸せ…