綺麗な庭

わたしの救いの箱庭です。

2019-01-01から1年間の記事一覧

鯨(くじら)

くじら。まるで怪獣のように心を蹂躙する。成すすべもなく脅かされる脳みそ。 重機のような、兵器のような、神のようなその姿態。終末を予見させるかの如きその慈しみを、船はどう思っているのだろうか。私の皮膚は鈍くうねり始めた。鯨鯨鯨...

じっとりと湿った空っぽに近づいている。

無題2

紫色の唇がいる。北半球の太陽は大体苦しい。 歩くにはそれなりの対応が取られる。ドアを開けるべきではない。 じかんというがいねんは空から降ってこない。ライドシンバルだけが天からの供物。 しゅうしゅうしゃらろん しゅいら しゅうしゅうしゃらろん し…

ユングフラウ

君の中のユングフラウ。汚れてしまったユングフラウ。望郷のユングフラウ。 真っ白な雪が積もって、君は楽しそうに駆け回る。小さなムートンブーツもどきが二匹の小動物みたい。 この雪は君だけのものだ。 サンクチュアリを、君にあげる。 春が来て、雪は真…

無毒化

さて、私自身を解毒しよう。やりかたはいくつかあるはず。 夜中の音楽番組にだまされてはいけない。例えば、あちこちにある特殊な磁場が少しずつヒト科に影響を及ぼす。長い目で見たらそれは致命的だ。 食パン1枚に仕込まれたカテゴライザー。私はジャムとバ…

樹海航海記

ノルディック柄のセーターのような気分になる。或いは、時化の樹海を航海するような、そんな気分になる。 いずれも私がコーヒーを一口すすった時の気分だ。 __一度、荒れた樹海で溺れたことがある。風は強く、波は高かった。大きな揺れで体勢を崩し、そのま…

畏怖

とても漠然とした恐怖を覚える。 それは頑なな秩序を持って絡まっている。残酷な正義を孕んだうねりだ。走る車の群れはなにか別の生き物のように見えた。 テールランプは考え事をしている目と同じように虚ろで、僕が知らないことを僕が知らない思考回路で考…

堕ちゆく

堕ちゆくイカロスは何を思う? 太陽はそれを見て何を思う? 愚かしい本能は蠅から物理学者まで平等だ。 みんなが正しいことをするから、僕だけが間違い続ける。 手始めに太陽と踊ろうとしたと、そういうわけなんだ。本能のままにね。 叶わない代わりにイカロ…

意味

かけがえのない1?それは妄想だろうか、きれい事だろうか。 ペシミズムの海の果てに浮かぶ孤島。君達はその慈愛を受け止めることができるだろうか。 記号的な器に過ぎないのだ。 忙しなく蠢く1達は考えることをやめた。 リノリウムの床は僕らを待ち焦がれて…

無題

ここにいて、どこにもいないような感じがする。体感。 ここは動物園だ。草木が鬱蒼と茂っている。 黄色い催涙ガスが熊を殺す。それはジャズのようなものだった。 やつらは大きくて賢い。そしていろんな色をしている。 海の中のやつらも現れた。小さくて冷た…

8/7

地球がフライパンみたいに熱くなった。 もしそれが本当なら、東京は溶けてくなってしまうだろうか? 息をしている、君はそれで十分だと言った。 それさえも、それさえも... 君は間違いだというの?

フォグランプ

「美しい過去を持てたなら、こうはなってなかったはずだ。」 あらゆるものが祝福の言葉を口にする。透明なはずの雨は魔法にかかったように輝き、風は僕を解毒した。音楽はからっぽな穴を通過してひゅうひゅうと音を鳴らす。 何処へでも行こう。リスの尻尾を…

青白い灯台

巻き戻して欲しい。 誰もいなくなった。静かに、こっそり、しかし確実に。 「僕ももう帰らなくちゃ。」 どこに? 存在しないはずの過去に想いを馳せる。 コントラバスが轟々と呻る。冗談すら息をしていない。 バレリーナはあんなにも綺麗に回る。 僕は泣きな…

漂着

ある寒い冬、海岸に赤子が打ち上げられた。それもトラックほどの大きな大きな赤子。目をしっかり閉じ、裸のまま深い呼吸を繰り返している。 寒さに震えながらも赤子は感じていた。思考や、意識よりももっと深い所で。 来たるカタストロフを。もたらされる悪…

透過

接近する。ゆっくりと“それ”へと近づいて行く。止める手立てはない。 侵食する。“それ”に侵され、また“それ”を侵す。これまでにない快楽と虚無。 同化する。僕と“それ”だけになる。混じり気のない純粋な二つの物質。意味を統合する。辻褄を合わせる。 透過す…