綺麗な庭

僕の救いの箱庭です。

ペルセポネ

結局君は僕が好きと言った髪型にしていた。

結局僕の前髪は君に言われた通りに分けられている。

 

なんなんだろう。なんなんだよ。

変わらない馬の尻尾。それは僕が望んだものだった。望んだものを手にしていた。

そしてそれを失った。失ってなお、忘れることができないでいる。

僕の帰るべき家はどこなんだろう。

たくさんの人の列の中で僕は今か今かと先頭にたどり着くのを待っている。体には枷がまとわりつき、さながら奴隷のような出で立ち。それでもいい、それでもいい。

 

もう煙草は吸わないし、結局僕は前髪を下ろしている。

もう遅いんだ。

春ゾンビ

冬を過ぎても死に切れなかった可哀想な元人間。

彼らは永遠に春の東京を彷徨い続ける。

 

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絵画

あまり天気の良くない午前中、老婆はたくさんの花をリヤカーに積んで街へ降りる。遠くの山には日光が降り注いでいる。

途中で一羽のうさぎが囁いた。

「花を運び、幸せを買う。幸せを売り、幸せを買う。」

しばらく行くと、頭上の渡り鳥が言った。

「遠くへ行くのはいいことだ。世界と決別しよう。」

街が見えて来た頃、少年と出会った。

「いつか僕は幸せになるんだと思う。あの人もあの人も。きっと、絶対に。でもあなたは...。花を一輪くださいな。」

街へ降り、老婆は困惑した。老婆が運んで来た花は、どれも美しかった。

広場に面した店の前に、ブリキの人形が倒れていた。

ちょうど太陽が空の真ん中に顔を出した。

街は祝福の光に綺麗に照らされ、花は生き方を思い出したように輝いた。

そよ風の中で老婆は気づいてしまった。

そのまま花のベッドの上に倒れこんだ。

さようなら。家に帰ったらスープを作ろうと思っていたのに。

交わる

輪郭が収束していく。

リビングルームの、天井と壁の間。

視線は一点を見つめている。

 淡白で、極めて三次元的な空間。

僕は何処へゆけば良いのだろうか。

狭い部屋をあてもなく彷徨う。

途方も無い砂漠。旅人と挨拶を交わす。

 

そうしている間に

僕の、誰かの、輪郭が収束していく。

笑い声

彼女の笑い声が、君の笑い声に似ていた。

小動物、マウス、白いラット。花束。

彼女の笑い声を聞くたびに君を思い出してしまったら、どうしてくれる?

君はどうして幸せになるの?

噛みちぎって、赤い肉を貪り喰う。骨まで砕いて、全部胃の中に。

 

生と死。

適合と不適合。

進歩と進軍。

 

精神的な部分で君と僕は繋がっていられるはずだし、それはただの呪いでしかない。

いつかもう一度、両の目を見て話そう。

寄生

また夢を見た。

君は拒絶しなかった。

世界には、僕ら2人しか存在しない。

いっそ2人で溶けてなくなりたかった。

いつこの亡霊は消えるのだろうか。耳元で幸せの台詞を囁く。

脳味噌に君が寄生しているようだ。

廃病院をいつまでも君と彷徨っていた。

あの夢は終わるべきではなかったが、始まるべきだった。

また君に会えるといいな。どうして。

 

やっぱり、起きたら雨が降っていた。

 

この上ない絶望。

存在の証明。

僕は今、いい夢を見ている。

君の小さな小さな肩を抱く。そこに残るのは一対の白い石像。

「凍結させてしまおう。」聖者は言った。

いつまでも開かない花火。秋になっても、冬になってもずっと。

幸せの種類。剥製にしてしまおう。

市民は1人につき、2人以上存在する。

陶器を僕が守る。