綺麗な庭

僕の救いの箱庭です。

今日ばかりは____もっともここにいる時はきまってそうなのだが___ネガティヴな気持ちで綴らせてほしい。(自分への戒めとして。)

 

愛すべき花のような人間。ある意味では、それは花に例えるには生き生きし過ぎているくらい、綺麗な花。

花は他を選ばすに生きて行く。(或いは選べずに死んで行く。)強いて言うなら太陽、水。造花でもない限り。

そんなわけで僕は太陽になりたいと思った。ひ弱な君を暖かく抱擁するべく。

残念なことに僕は、雨にばかり好かれているようで、夢の景色まで決まって雨模様。

果たして君は花か、造花か。

僕の知的欲求はそこから始まる。

 

一生枯れない君を見続けるのも悪くない。涙も、抱擁も必要としない君を見続けていたい。

終わりがあり、かつ正当な始まりがある君を、全身全霊をかけて幸せにするのも悪くない。

 

でもこれは全部仮定の話。限りなく不可能に近い仮定の話。

君も、いつか誰かに摘まれて、幸せになってしまう。阻止する力は、僕にな無いな。

案の定雨に降られた夢の中で抱いた君の肩はとても、驚くほどに小さかった。

 

君が花で、太陽を求めるなら、僕は雨でいいし、自然とそう決まっている。雨という役割も怪しいものだけど。

 

 

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ルビー

追って来る豹。僕は蝶を追いかける。

今まで蝶を素手で捕まえられた試しがないけど、なんとかやってみよう。

追いかけても追われても僕は一応前進してると思う。

でもそれが本当は挟み撃ちだったら?

やめようこの話は。今日みたいな涼しい夏の夜には相応しくない。

 

綺麗な話をすると、空に打ち上げられる炭酸のようにぱちぱち弾ける火薬の星空を見た。偽りの美しかこの世には存在しない。紅い金魚もなにか言いたそうに口をぱくぱくさせている。

でもそれを見ても、僕の中にはなにも生まれなかった。非生産的な美。いかにも夏らしいわけで。言い換えるなら夏の魔法は僕には効かなかったわけで。もう魔法なんてないのかもね。

 

いろいろさらけ出しているようで嘘ばかりの夏。嘘ばかり。

 

春の走り書き

 

 

以下の文章は、通俗的に「春」と呼ばれている時代に、この庭の主人によって書かれた走り書きである。机の奥の方でとても良い状態で発見された。

庭の主人はなぜ書いたのか覚えていないそうだ。

 

 

自分が人より劣ってると思うわけで、それは他人が僕の知らないことを知っているからで、僕は自分のことさえよく知らない。

当たり前のように原色を好む人間。
鮮やかな色には毒があるはず。はず。
満たされたように笑って、歌う。
生きたいように生きている。ように見える。
でも知らない。僕はなにも知らない。

街は誰にでも平等に接する。
簡単に幸福を感じられなくなった幸福中毒者。マニアックな性癖。
みんな花粉症で、香水の匂いで、鼻が効かなくなっている。
無論、僕も。

桃色の花が必然的に咲く。
必然的に人は少し楽しくなる。

僕と人は見ているものがまるで違う。
視界が狭いのはどっちだ?色眼鏡。

自分の好きな色さえわからない。
なにがしたいかわからない。
しなければいけないことがいつも背後にいるのはわかる。でも僕は視界が狭いらしいので、気づかない。ふりをし続けている。それは少しづつ少しづつ僕を蝕んで行って、未来を閉ざす。

ありふれた言葉しか知らない。無能で無知な僕。無論、君も。
君を呼び止めるとき、どんな言葉を使えばいいのか。

遠雷

遠くで鳴いた雷が、その鋭い風貌とは裏腹に、兵隊の足音のような響きを轟かす。

それは人々に恐怖を与えかねない。

気をつけて。

不可触

無機質な街の中で、君の心臓は強く脈を打った。

もう夢は朧げになって、僕は別の細胞に作り変えられてゆく。

青リンゴはまだまだ食べられない。

鉛と降雨、ベッドの上で夢を

ベッドの中で君は遠くへ行ったことを悔いた。視界は鉛でコーティングされたように数段階暗い。雨の日なのかもしれない。

嬉しくて笑うと覚醒に呼び戻された。

頭を抱え、あるはずのない四角い部屋に意識を戻そうとする。

 

そんな日に君と会ってしまったのが間違いだった。まだまだ僕らは間違えてしまう。

君の全てを意識せざるを得ない。抑制しなければならない。距離。

 

椅子に座りながら何度も朝の夢を思い出した。君の横顔。群青。降雨。

ノイズ。今日から僕の心はクリーンになるはずだ。スペアミントのガムのように、清々しい僕。

ノイズ、静寂、ノイズ、静寂、静寂、静寂...

 

 

綺想

気づいたら僕の前の方に君がいて、必然的に、否が応でも視界に入る。

世間知らずで謙虚そうな後頭部を僕はじっと見てしまう。

芸術作品のように綺麗な髪の毛。無垢で、有機的な美。

量産的な美を記号的に纏う民衆の中で、君は間違いなく1番美しい。

つい溜め息が漏れる。憂いと憧れが醜く混在する。

思い出したかのようにモノクロの光景がフラッシュバックする。壊れた蛍光灯のようにちかちかと。

心臓の楔は、鎖は、呪いは、もう消えることはないんだと感じた。進むことも、止まることも、戻ることも、昇ることも、堕ちることも、なにもできやしないんだ、と。

それにしても本当に綺麗な髪だ。僕のと全然違う。