綺麗な庭

僕の救いの箱庭です。

アブダクション

目眩がする。ここは空気が悪い。

君もそう思うだろ?

機械仕掛けのタコの触手みたいに四方に伸びる駅前の歩道橋。

顔を上げてごらん、街灯だって息も絶え絶え。

帰ろう。たしか冷蔵庫にはチョコレートが入ってるはず。宇宙ステーションみたいな光が漏れ出す。

こんなところで道草食ってても奇跡は起こらない。

親愛なる猿達へ

間違いと共に生きる人生だ。みんな溶けてしまえばいいのに、僕もそう思う。

惰性的な日々の惰性的な帰り道。荷物がやけに重い。歩き方を忘れてぎこちなくなる足取り。

喧騒、笑い声、夕日。

馬鹿みたいな猿達とすれ違う。その度に見えない煙草の煙を飲む。馬鹿みたいだ、と発声してみる。

誰も幸せではない。誰も幸せにはなれないし、誰もが幸せの真っ只中。

全員呪い殺してやると意気込んだ。そして一人ぼっちになった。

一体どこに正解があるって言うんだ?

 

いったいどこにせいかいがあるっていうんだ?

 

出口のないトンネルみたいな並木道を通って帰る。街灯は終末を告げる。

馬鹿みたいだ、と呟く。

狂う、それ以上でも以下でもない

気づいたら僕は間違い続けていた。振り返るとそこには死んだ僕がいた。輪郭だけが残った抜け殻みたいだ。

強くなれたと思ったのに、正解を選んでいたと思ったのに。

相変わらず僕はこれっぽっちも変われていなかった。どうして?あの綺麗な花を守ることができなかった。唯一の救いはその記憶がとても美しいということ。

遅くに寝た日の朝、異常に早く鳴る秒針の音を聞いた。

かちかちかちかちかちかちかちかち…

異常だ。刻まれる。

刻まれていた。

全てを忘れて僕は黒い春を歩き出した。

永遠の図書館

紛れも無い過去の記憶。匂い。

またこの季節が来て、同じことを思う。

それは児童図書館のように可愛らしいこと。画用紙で作られた桜の花。うさぎが笑っている。茶色い本棚。

僕を置いて行く、置いて行く、置いて行く。

取り残される、取り残される、取り残される。

本当は、変わらずに残り続けているだけなのに。

混乱

3分前の思考が風化する。置き去りになる。誰も覚えてはいない。

僕はまず不規則な睡眠から目覚める。そして思考する。終わりも始まりもない。誰も僕には着いてこれない。それは僕であっても同じこと。

曖昧なのだ。うんざりする。

パッケージが部屋に散乱している。中身は一体何処へやら。

時間をかけてものを食べ、停止するように眠り、小難しい本を読み、思考する。時々働く。

僕は確かに人間だという真実。

生まれながらにして僕は欠陥生物だった。