2023-03-05 蟲 粉々になった硝子が落ちている 幾つもの眼が私を見ている 肌がじっとりと湿っている 呼吸はとても冷たく感じる 部屋の隅から 真っ黒い私が這い寄る 真っ白な錠剤をたくさん飲み込むあなた 私の手など遠く及ばない所に あなたの肌は在る 私の切先など遠く及ばない所から あなたは笑う 薄汚れた洗面台と 切れかけの灯り さっき吐き出したものが 生き物のように吸い込まれていく 頭が青白くスパークし、叫ぼうとするが あなたには届かない