とても漠然とした恐怖を覚える。
それは頑なな秩序を持って絡まっている。残酷な正義を孕んだうねりだ。走る車の群れはなにか別の生き物のように見えた。
テールランプは考え事をしている目と同じように虚ろで、僕が知らないことを僕が知らない思考回路で考えている。脳みその構想がまるで違うのかもしれない。
この難解な街で独りきりになってしまった。現実味のない歩道橋からそれを眺める。
例えばあのビルの屋上から落ちたら救われるだろうか?街灯は眠ったように黙り込んでいる。
あの車たちはどこへ行くのだろう。
僕もどこか知らないところへ連れってくれ。