日記
今日は一度朝早くに目覚めた。生まれて初めて感じた、病院の光のような日光をぼんやり見つめていた記憶がある。
僕はそこでなぜかスプーンを思い浮かべた。搔きまぜるのだ。
いつの間にかもう一度寝ていたようで、日光はさっきとは違う、霧雨のような安心感を持っていた。
起き抜けに水を飲んだ。自分が半透明になったように感じる。
朝食と昼食を一緒にとった。固いパンをミルクで流し込んだ。スクランブルエッグが幸せかどうか聞いてくる。
とりあえず絵を描く事にした。何を考えるでもなく、筆に任せた。あれは駄作だ。
花瓶の水を新しくして、季節の花を植えた。そろそろ雨の季節なのだが、毎年、一滴も降ってくれない。嘘をつかれた気分になって、1つだけドロップを土に埋めた。
風が気持ちよくなってきたので、白いプラスチックの椅子で、本を読んだ。幸せ図鑑。幸せには、絶滅した個体や、希少な個体があるらしい。
とても興味深い。いつか幸せを採集する旅に出ようと思う。たくさん捕まえて、標本にしよう。
甘酸っぱい物が飲みたくなったので、透明な酒を飲んでみた。随分前のだったが、飲めた。花にも少しあげた。
太陽が悲しそうに消えてゆく。また明日会おうと思う。そして「昨日ぶり。」と声をかけてやる。きっと喜ぶだろう。
夕飯を適当に胃に入れた。橙色の電球は、病院の光の正反対だ。
煙草がなくなったので、また明日作ろうと思う。
久々に夜更かしをしてしまった。
目を瞑ると、あの朝日がちかちか眩しくて、眠れないのだ。
ミルクコーヒーを作ったが、あまり美味しくなかった。
あまり眠くないが、寝ることにする。
病気の鯨のようなベッドが僕を待っていてくれてるからね。