綺麗な庭

僕の救いの箱庭です。

最後に海を見た日

最後に海を見た日を、僕は覚えていない。

 

僕は海岸から海を見つめる。日は陰り、遠くの空が紫に染まる。

波は強く繰り返される。脈を打つ。生きている。強く。正しく。

横目に走る少女を捉えた。とても足が速い。勢いよく海に突っ込み、ぐんぐん進む。とうとう頭まで見えなくなってしまった。

いつのまにか空っぽになっていた僕は、もうなにも喋れない。ただ叫び声をあげ、うなだれた。

巨大な心臓へ頭を垂れる。誰かに許してもらいたい。

君と一緒になれるなら、進もう。

 

最初で最後の海。