絵画
あまり天気の良くない午前中、老婆はたくさんの花をリヤカーに積んで街へ降りる。遠くの山には日光が降り注いでいる。
途中で一羽のうさぎが囁いた。
「花を運び、幸せを買う。幸せを売り、幸せを買う。」
しばらく行くと、頭上の渡り鳥が言った。
「遠くへ行くのはいいことだ。世界と決別しよう。」
街が見えて来た頃、少年と出会った。
「いつか僕は幸せになるんだと思う。あの人もあの人も。きっと、絶対に。でもあなたは...。花を一輪くださいな。」
街へ降り、老婆は困惑した。老婆が運んで来た花は、どれも美しかった。
広場に面した店の前に、ブリキの人形が倒れている。
ちょうど太陽が空の真ん中に顔を出した。
街は祝福の光に綺麗に照らされ、花は生き方を思い出したように輝いた。
そよ風の中で老婆は気づいてしまった。
そのまま花のベッドの上に倒れこんだ。
さようなら。家に帰ったらスープを作ろうと思っていたのに。