綺麗な庭

僕の救いの箱庭です。

春の走り書き

 

 

以下の文章は、通俗的に「春」と呼ばれている時代に、この庭の主人によって書かれた走り書きである。机の奥の方でとても良い状態で発見された。

庭の主人はなぜ書いたのか覚えていないそうだ。

 

 

自分が人より劣ってると思うわけで、それは他人が僕の知らないことを知っているからで、僕は自分のことさえよく知らない。

当たり前のように原色を好む人間。
鮮やかな色には毒があるはず。はず。
満たされたように笑って、歌う。
生きたいように生きている。ように見える。
でも知らない。僕はなにも知らない。

街は誰にでも平等に接する。
簡単に幸福を感じられなくなった幸福中毒者。マニアックな性癖。
みんな花粉症で、香水の匂いで、鼻が効かなくなっている。
無論、僕も。

桃色の花が必然的に咲く。
必然的に人は少し楽しくなる。

僕と人は見ているものがまるで違う。
視界が狭いのはどっちだ?色眼鏡。

自分の好きな色さえわからない。
なにがしたいかわからない。
しなければいけないことがいつも背後にいるのはわかる。でも僕は視界が狭いらしいので、気づかない。ふりをし続けている。それは少しづつ少しづつ僕を蝕んで行って、未来を閉ざす。

ありふれた言葉しか知らない。無能で無知な僕。無論、君も。
君を呼び止めるとき、どんな言葉を使えばいいのか。