馴染み深い曲を背景に僕は家族らしき人間と戯れている。
木がまばらに生えている公園。遊具は木製で、数が少ない。
やけに雲のない、演出されたような空。
冬めいた秋。水彩絵の具で薄く誤魔化したような視界。
全てが絶好のコンディション。
幸せそうに笑っている君は誰だ。
はたまた賢い少女であるのか。
柔らかい日差しが君の笑顔を真っ白にする。
しかし、僕の心にはほんのわずかの焦燥が居座っていた。理由はわからない。
このいまを手放してしまいたくない。
瞼を開けてみると硬いベッドと馴染み深いBGMが流れていた。