綺麗な庭

僕の救いの箱庭です。

君はくすくす笑う

「幸せってなあに?」

「人それぞれさ、ほら、今日も北のほうで弦楽器を弾いている人たちがいるよ。」

「それは幸せなこと?」

「とてもとても、幸せなことさ。」

「映画みたいね。」

「鐘を鳴らせば僕は許される。初夏の朝、冬の斜陽、花束を病院の廊下に落とす。」

「綺麗ね。」

「幸せさ。」

「白いシーツの砂漠で私たちは旅をしているわ。肺呼吸をしている。」

「煙草をくれないか。煙草が欲しいんだ。」

「近くにいるけど遠いのね。」

「煙草がほしいんだ。」

「この前街でおおきな鯨をみたの。コンクリートの森をゆうゆうと泳いでいたわ。」

「その話はよせ。神なんていないんだよ。」

「神様はいるわ。知っているでしょう?彼女にも、彼にも、神様はいるの。」

「美しくない。美しくない。」

「眠れない夜はきっとお腹が空いているのよ。彼女を食べたい。違う?」

「煙草をくれ。」

「幸せってなあに?」

「僕はもう疲れたんだよ。」