綺麗な庭

僕の救いの箱庭です。

幸せ

何もない。空っぽになった。硝子ビンの中でうねっているものは、ビンと一緒に弾けてしまった。

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知らないところへ行きたい。誰も僕のことを知らない、僕も誰のことも知らないところ。薄暗くなったらバスの中で変な曲を聴くんだ。そしてきっと、還りたくなる。君のところへ。でも君は存在しないから、何食わぬ顔で変な曲を聴く。じわじわ、ありもしない記憶が懐かしく蘇る。黄土色のフィルム、星のようにちかちか光るノイズ。白い、古臭い椅子。今は咲いていない花。白いワンピース。斜陽。もしかしてこれは母胎の景色?僕はその記憶をこの濁った目で、今一度見て見たい。

薄暗い景色がいよいよフライパンみたいに黒くなって、馬鹿みたいに僕を隠そうとする。バスの乗客はみんな寝てしまった。生きているのは僕一人だ。
ついうとうとしてしまって、夢を見る。清潔で、美しくて、眩しい夢。ビンの中の液体がしゅわしゅわあぶくを立て始めている。透明。