綺麗な庭

僕の救いの箱庭です。

混乱

3分前の思考が風化する。置き去りになる。誰も覚えてはいない。 僕はまず不規則な睡眠から目覚める。そして思考する。終わりも始まりもない。誰も僕には着いてこれない。それは僕であっても同じこと。 曖昧なのだ。うんざりする。 パッケージが部屋に散乱し…

5:47

横殴りの風、大粒の雨。 それは心地良い蹂躙。混乱を受容するのだ。 夜明け、空が群青に染まる。 ドレスみたいなそれらを纏って君は笑う。やはりどこか懐かしい。 それ以上でも以下でもなかった。

漂着

ある寒い冬、海岸に赤子が打ち上げられた。それもトラックほどの大きな大きな赤子。目をしっかり閉じ、裸のまま深い呼吸を繰り返している。 寒さに震えながらも赤子は感じていた。思考や、意識よりももっと深い所で。 来たるカタストロフを。もたらされる悪…

透過

接近する。ゆっくりと“それ”へと近づいて行く。止める手立てはない。 侵食する。“それ”に侵され、また“それ”を侵す。これまでにない快楽と虚無。 同化する。僕と“それ”だけになる。混じり気のない純粋な二つの物質。意味を統合する。辻褄を合わせる。 透過す…

ハッピーエンド

それは確かか?という問いがずっと僕の周りを浮遊している。それは鬱陶しい靄に近い。タバコの煙?帰還するのだ、あらゆる疑問を通り抜けて。 僕がたとえパナマ運河まで行こうと、僕は僕的な役割を果たすだけであって、決して君を恨むようなことはしない。そ…

変遷

僕にとってそれは割と大きな出来事だったのかもしれない。衝撃的な革命。 拙いが故に気づかなかった過ち、それによってもたらされた災い。今思えばあの時から僕はゆっくりと変化し始めた。災害による被害を着々と復旧していくように。二度と間違わないように…

ジュブナイル

どこか遠くの極めてアジア的な空間で催される祭り事。幼い私はぽわぽわとした気分でした。何処からか潮の匂いが、なにかを焼く匂いが。 夜に煌々と照るライトの背後には影、亡霊。高揚した気分の人々はそれに気づかないふりをしています。亡霊が歌うと、私は…

ハーバリウムって言うんだって

気が狂ってしまいそうなんだ。持っていない物を探して随分経つ。海岸に打ち上げられた一匹の僕。不幸の前触れ。 角砂糖の中で生きている。甘い甘い鳥籠。ここにいるときは安心できるんだ。馬鹿になって、なにも考えないから。間延びした声で夢を語る。あくび…

綺譚

くすんだ景色。きっと標高の高い場所にあるんだ。何かを予感させ、絶望させ、安堵させる、無機質とも言える風が吹く。風は何も言わないし、僕らは何も聞けない。それは諦観に近い。 白い柵に囲われた庭。二人分くらいの幅の入り口はちゃちなアーチで飾られて…

モラトリアムアクアリウム

ぶくぶく。たっぷりと満たされた適温の水。餌を食べて満腹。ぐっすり寝る。 ぶくぶくぶく。 タバコを深く吸って大きくため息をつく。可視化されたため息。 丸い目をした金魚に問う。「お前は今何者だ。名前は?好きな食べ物は?明日は何する予定?」 金魚は…

何者

君は画家で、あなたは香水を作っている。彼女は遠い国で花屋をやっていて、さっきすれ違った男は吸血鬼で、たくさんの警察が目を光らせている。水族館では、消防士、音楽家、ドイツ人のプログラマー、軍人、薬局の店長、地底人、テレビの関係者。フランケン…

虚を泳ぐ

一人の魔女の家を僕は知っている。 魔女に尋ねる。 「愛は?」 「なくした。殺しちゃった。」 当たり前のように言うものだから、僕は悲しくなった。 真っ赤な花、y軸の方程式。 僕は魔女にただ笑って欲しかった。ピエロにもなった。上手に笑おうとした。 い…

lily

誰かが叫んでいる。聞こえる? 雨が降っている。梅雨だから。雨粒の断末魔。たくさんの綺麗を見て、酔って、吐いて。 君は綺麗になるよ。雨粒のような瞳に、黒い髪。 雨の中のリリィ。聞こえる?

空っぽの独白

悲しいと感じた。純粋な感情。 映画を見て涙を流した。君のように何かを持っている人間は生き、私は死んだ。 真っ逆さまさ。幸せなら手を、どうかこんな僕の手をとって救ってはくれないだろうか。君は生き、私は死んだ。黒い寒すぎるプールに落ちて死んだ。…

環世界

僕に見えている景色がある。浴室は浴室たりえる光の反射を見せ、鏡には僕が見える。 娼婦に見えている景色がある。人間の性と罪、自分が歩くべき歩幅が見える。 男に見えている世界がある。右脳から生まれた彫刻、檻を開ける鍵が見える。 君には何が見える?…

深海

間違いのない世界に咲いた花、当然のように僕を殺した。この世界では、僕だけが間違い続けてしまう。ピアノは寂しいと嘆き、僕はそれに頷く。 思ったより僕は冷静なようで、まずいコーヒーをすすりながら呼吸をする。吸って、吐くだけ。祝福の夜はとうに昔の…

相対

そんな時にばかり夢を見る。いつもそうやって過ちを犯す。1と0と0と1を比べてしまう。 夢は着実に現実を蝕んで行く。チェロの音が鳴る霧だらけの森に巣食う怪物のように蝕んで行く。 長くて急な坂道を登って下って、ブレーキ。体温、肌、声。 曖昧な夜には煙…

旋律と背景とともに

くどいくらいのコーヒーの味。砂糖は多めで。憂鬱な雨と気だるげな空と、報われることはないアスファルト。 どこか遠くの知らない場所、そこにいる誰かは僕の帰りを待ち望んでいる。僕自身もそこへ行くことを強く望んでいる。 神話的な風景。 昨日、夢を、見…

博物の館

「剥製」という「物質」。生きていた過去を君は覚えている? 作り物の目玉で、どこか恨めしげに私たちを見ている。 思ったより大きな肋骨で、生きようと動き続けていた皮膚で、私たちを裁く瞬間をガラス1枚向こうで待ち続けている。 君たちが生きていたこと…

国道沿い

いつまでも暮れない太陽と、いつになっても読み終わらない物語と、いくら飲んでも減らないコーヒー。 雨が降っていた。誰かが呟いた。「粘土の空」奏でるように他にも何か言っていたような気がするが、雨の音にかき消されてしまっていた。 小綺麗なカフェで…

黒い春

覚醒の時期、道端の小さな花も、風に凪ぐカーテンも、暖かな斜陽も、たちまち真っ黒に染まった。 黒い洋服を着て、残酷な春の日を闊歩する。ひらひらと黒い花びらが舞う。 そこにあるべき正しさと、失われたこころ。日向と日陰の境。白と黒。愛と無。 綱渡り…

最後に海を見た日2

簡単なことを忘れていて、息が詰まる。 寒い寒い夜明けの中、秘密の話をしよう。 水平線。群青。乱反射。 鏡のようにふたり手を合わせ、白い息を吐く。確かに僕は存在して、海を見ている。 歩こうか?潜ろうか?泳ごうか?溺れてみようか? 君となら、なんと…

植物のない世界

正解のないこの物語の中で、僕たちはどうやって幸せになればいいんだろう。

最後に海を見た日

最後に海を見た日を、僕は覚えていない。 僕は海岸から海を見つめる。日は陰り、遠くの空が紫に染まる。 波は強く繰り返される。脈を打つ。生きている。強く。正しく。 横目に走る少女を捉えた。とても足が速い。勢いよく海に突っ込み、ぐんぐん進む。とうと…

秒針と流星

呪いは綺麗さっぱりなくなり、病だけが身体を蝕む。 冬の空に幾つもの流れ星をみた。刹那的な生命、終わりある光、数秒の意味。 毎晩僕は間違ってしまう。許すことができるのは僕だけ。あの流れ星を見たのは僕だけ。間違ったのは僕だけ。病にかかっているの…

慟哭

みんないつか幸せになってしまう。 君はきっと僕の知らない誰かの隣で笑っているだろう。 僕はいろいろ欠けてしまっていて、幸せにはなれない欠陥品。真っ暗な道をわざと踏み外してずっと深いところへ堕ちてゆく。深海より深くて、魚もいない。何も見えない…

しあわせ

幸せが手のひらから零れ落ちる。 僕は焦らないように、慎重に息をする。 強がって強がって何処かで一人で死を迎えるけど、墓標を建てる誰かはいない。どこにもいない。 「どこかへ逃げないと。」 「どこへ?」 「出来るだけ遠くへ。」 「醜い。」 「そうとも…

どうしようもない世界だから

いいよ、君を失っても。 いいよ、君が誰かに奪われても。 いいよ、君が誰かを許しても。 いいよ、君の目が見えなくなっても。 いいよ、君が君じゃなくなっても。 いいよ、僕を忘れても。 君が幸せになれるなら、いいよ。

6月の女王

雨の月、彼女は女王になる。 1つ歩みを進め、民は跪く。 好き放題嵐を起こし、さめざめと泣く。 君には自由も、束縛も似合わない。 いつまでもそこで凛としていてくれればいい。視線の先から僕が消えても、好き放題嵐を起こし、さめざめと泣いてくれ。 我が…

発祥

患った。意味になってくれてありがとう。 決して煩わしいものなんかではなく、空いた穴を埋めてくれる。時間や理論や思考はすっ飛ばして、6号線も2丁目も赤い信号も一蹴してしまう。 果てしなく加速して、ひっそりと停滞して、幸せになろうじゃないか。今だ…