綺麗な庭

僕の救いの箱庭です。

今の僕はただの動いている屍でしかない。 なんの意味も齎さず、白目で呆然としているだけの醜い姿。 殆どがもう駄目になってしまったのだ。タバコを吸って混ぜ物入りの牛乳を飲む。 生きることとは、人生とは、自分の存在によって世界に差異をつけることだと…

無題

ここにいて、どこにもいないような感じがする。体感。 ここは動物園だ。草木が鬱蒼と茂っている。 黄色い催涙ガスが熊を殺す。それはジャズのようなものだった。 やつらは大きくて賢い。そしていろんな色をしている。 海の中のやつらも現れた。小さくて冷た…

受容

絶望しているのかい?仕方ない、今日は絶好の絶望日和だ。 陳腐だね。可笑しいね。 神様はいないってわかっている、それだけで君は愚かではない。雨は何も拭ってはくれないし、芸術は沈黙している。 あったはずの昨日や、存在しない明日へのトリップ。映画を…

独白

神様がいるなら少し僕の独白に耳を傾けてほしい。 2019年の蒸し暑い夏、定められたある種の指標を通過して僕は大人になった。 呆気ないものだった。愛想の悪いゲートの審査官は、顔も見ずにスタンプを押した。どこか割り切れないような気持ちと共に通り抜け…

表情を変えて

わからないな。何が正解で何が間違いなのか。いくら考えてもわからないんだ。 初めからそうするべきではなかった?今君は何を考えているの?僕はいつ扉を叩いた? そう、そのまま寝てしまおう。ひとまず数歩下がろう。わからないものを有耶無耶にしてしまお…

絵筆

更新中。世界が世界を更新している。 歩き回れ、雪の上は慎重に歩け。訳の分からない言葉がそう囁いた。 偽物の安寧が訪れる。そこには拭えない血がこびりついている。 僕は絵を描くよ。更新するんだ。留まることはできないということはよくわかっている。 …

8/7

地球がフライパンみたいに熱くなった。 もしそれが本当なら、東京は溶けてくなってしまうだろうか? 息をしている、君はそれで十分だと言った。 それさえも、それさえも... 君は間違いだというの?

皮肉られた船出

ホテルのロビーで幼い私は呆然としていた。その頃の私は心の奥で大抵そうしていたと思う。手のひら大の過去を握りしめて。ぽろぽろとオルゴールから音が零れ落ちている。 木製のおもちゃを欲しがった。鳥のバッジでもよかった。 怖いものを怖がり、楽しいこ…

フォグランプ

「美しい過去を持てたなら、こうはなってなかったはずだ。」 あらゆるものが祝福の言葉を口にする。透明なはずの雨は魔法にかかったように輝き、風は僕を解毒した。音楽はからっぽな穴を通過してひゅうひゅうと音を鳴らす。 何処へでも行こう。リスの尻尾を…

静かでない必要がないから

チェック柄のスカートが重たい風に吹かれている。水面に映る顔は現実より現実を映していた。赤茶色の世界で少女は真っ二つになりそうなのを堪えている。 それを鹿が見ている。その光景を脳に焼き付けようと、あるいは魅せられたように、あるいは品定めするか…

青白い灯台

巻き戻して欲しい。 誰もいなくなった。静かに、こっそり、しかし確実に。 「僕ももう帰らなくちゃ。」 どこに? 存在しないはずの過去に想いを馳せる。 コントラバスが轟々と呻る。冗談すら息をしていない。 バレリーナはあんなにも綺麗に回る。 僕は泣きな…

いつのまにか愚かな白痴になっていた。 このまま生きてしまいたくない。

良い日の夜明けは青いと気づいた。

きっと今日を生きたという証拠が欲しいのだ。根拠とも、痕跡とも言う。 代替不可能だと言う証明を... それが許されないのなら、私は一切を放棄する。 どうか安らかな眠りを...

アブダクション

目眩がする。ここは空気が悪い。 君もそう思うだろ? 機械仕掛けのタコの触手みたいに四方に伸びる駅前の歩道橋。 顔を上げてごらん、街灯だって息も絶え絶え。 帰ろう。たしか冷蔵庫にはチョコレートが入ってるはず。宇宙ステーションみたいな光が漏れ出す。…

親愛なる猿達へ

間違いと共に生きる人生だ。みんな溶けてしまえばいいのに、僕もそう思う。 惰性的な日々の惰性的な帰り道。荷物がやけに重い。歩き方を忘れてぎこちなくなる足取り。 喧騒、笑い声、夕日。 馬鹿みたいな猿達とすれ違う。その度に見えない煙草の煙を飲む。馬…

狂う、それ以上でも以下でもない

気づいたら僕は間違い続けていた。振り返るとそこには死んだ僕がいた。輪郭だけが残った抜け殻みたいだ。 強くなれたと思ったのに、正解を選んでいたと思ったのに。 相変わらず僕はこれっぽっちも変われていなかった。どうして?あの綺麗な花を守ることがで…

永遠の図書館

紛れも無い過去の記憶。匂い。 またこの季節が来て、同じことを思う。 それは児童図書館のように可愛らしいこと。画用紙で作られた桜の花。うさぎが笑っている。茶色い本棚。 僕を置いて行く、置いて行く、置いて行く。 取り残される、取り残される、取り残…

混乱

3分前の思考が風化する。置き去りになる。誰も覚えてはいない。 僕はまず不規則な睡眠から目覚める。そして思考する。終わりも始まりもない。誰も僕には着いてこれない。それは僕であっても同じこと。 曖昧なのだ。うんざりする。 パッケージが部屋に散乱し…

5:47

横殴りの風、大粒の雨。 それは心地良い蹂躙。混乱を受容するのだ。 夜明け、空が群青に染まる。 ドレスみたいなそれらを纏って君は笑う。やはりどこか懐かしい。 それ以上でも以下でもなかった。

漂着

ある寒い冬、海岸に赤子が打ち上げられた。それもトラックほどの大きな大きな赤子。目をしっかり閉じ、裸のまま深い呼吸を繰り返している。 寒さに震えながらも赤子は感じていた。思考や、意識よりももっと深い所で。 来たるカタストロフを。もたらされる悪…

透過

接近する。ゆっくりと“それ”へと近づいて行く。止める手立てはない。 侵食する。“それ”に侵され、また“それ”を侵す。これまでにない快楽と虚無。 同化する。僕と“それ”だけになる。混じり気のない純粋な二つの物質。意味を統合する。辻褄を合わせる。 透過す…

ハッピーエンド

それは確かか?という問いがずっと僕の周りを浮遊している。それは鬱陶しい靄に近い。タバコの煙?帰還するのだ、あらゆる疑問を通り抜けて。 僕がたとえパナマ運河まで行こうと、僕は僕的な役割を果たすだけであって、決して君を恨むようなことはしない。そ…

変遷

僕にとってそれは割と大きな出来事だったのかもしれない。衝撃的な革命。 拙いが故に気づかなかった過ち、それによってもたらされた災い。今思えばあの時から僕はゆっくりと変化し始めた。災害による被害を着々と復旧していくように。二度と間違わないように…

ジュブナイル

どこか遠くの極めてアジア的な空間で催される祭り事。幼い私はぽわぽわとした気分でした。何処からか潮の匂いが、なにかを焼く匂いが。 夜に煌々と照るライトの背後には影、亡霊。高揚した気分の人々はそれに気づかないふりをしています。亡霊が歌うと、私は…

ハーバリウムって言うんだって

気が狂ってしまいそうなんだ。持っていない物を探して随分経つ。海岸に打ち上げられた一匹の僕。不幸の前触れ。 角砂糖の中で生きている。甘い甘い鳥籠。ここにいるときは安心できるんだ。馬鹿になって、なにも考えないから。間延びした声で夢を語る。あくび…

綺譚

くすんだ景色。きっと標高の高い場所にあるんだ。何かを予感させ、絶望させ、安堵させる、無機質とも言える風が吹く。風は何も言わないし、僕らは何も聞けない。それは諦観に近い。 白い柵に囲われた庭。二人分くらいの幅の入り口はちゃちなアーチで飾られて…

モラトリアムアクアリウム

ぶくぶく。たっぷりと満たされた適温の水。餌を食べて満腹。ぐっすり寝る。 ぶくぶくぶく。 タバコを深く吸って大きくため息をつく。可視化されたため息。 丸い目をした金魚に問う。「お前は今何者だ。名前は?好きな食べ物は?明日は何する予定?」 金魚は…

何者

君は画家で、あなたは香水を作っている。彼女は遠い国で花屋をやっていて、さっきすれ違った男は吸血鬼で、たくさんの警察が目を光らせている。水族館では、消防士、音楽家、ドイツ人のプログラマー、軍人、薬局の店長、地底人、テレビの関係者。フランケン…

虚を泳ぐ

一人の魔女の家を僕は知っている。 魔女に尋ねる。 「愛は?」 「なくした。殺しちゃった。」 当たり前のように言うものだから、僕は悲しくなった。 真っ赤な花、y軸の方程式。 僕は魔女にただ笑って欲しかった。ピエロにもなった。上手に笑おうとした。 い…

lily

誰かが叫んでいる。聞こえる? 雨が降っている。梅雨だから。雨粒の断末魔。たくさんの綺麗を見て、酔って、吐いて。 君は綺麗になるよ。雨粒のような瞳に、黒い髪。 雨の中のリリィ。聞こえる?